国公立大入試について
国公立大の一般入試は、一次(センター試験)と二次(個別学力検査)とがあり、この2つの試験の合計点によって合格者が決められる仕組みになっています。この点が私大の一般入試との大きな違いですが、具体的には、以下のような特徴があります。
1.特徴
●センター試験がマーク式なのに対し、二次試験は記述式が大半
記述式だからといって、何もかもがセンター試験や多くの私大入試に代表されるマーク式より大変になるとは限りま
せん。英語や日本史、世界史などはかなり大変になりますが、その一方で、マーク式にはない「部分点」がもらえる
メリットもあります。例えば数学で、過程は合っているのに計算ミスをした場合、マーク式では勿論0点なのに対し、
記述式では計算ミスをする手前の、過程の部分についての点数はもらえるのです。
●二次試験は「分離・分割方式」と呼ばれるやり方で実施される
これは、各大学の二次試験を前期日程と後期日程に「分離」し、同じ学部や学科の募集人員をこれらの日程で「分割」
する方式で入試が行われるということです。また、ごく一部ですが「中期日程」という、上記とは別の日程で二次を
行う公立大もありますので、制度上は最大3回受験機会があることになります。ただし、「分割」とは言っても、ほと
んどの大学で前期:後期がだいたい9:1くらいで、圧倒的に前期に多く配分しているため、実質は前期の一発勝負と
なっています。さらに、もし前期日程で合格し、入学手続きを行うと、中・後期試験を受けたとしても、合格対象
から除外されます。つまり、前期と後期とが同じ大学ならともかく、そうでなければ、前期日程で第一志望校を受験
することが前提になります。尚、最近では、後期日程を廃止したり、廃止しないまでも、定員を減らす大学が増えて
いますので、今後、後期日程自体がさらに縮小されていくと予想されます。その代わり、後期の定員の分は、AOや
推薦入試などの定員に振り分けられています。
●二次試験の科目が大学によって大きく異なる
これは、本当にどの大学も異なりますので、確認が特に必要です。ただ、一概に言って、後期試験の方が、前期試験
より試験科目数が少なく、その分小論文や面接などを課す大学が多い傾向があります。これは、そもそも分離・分割
方式というのは、学力だけでは測れない有能な学生の確保を目的にした制度だからでしょう。だからこそ、あえて
前期と後期とでやり方を変えているわけです。実際、だいぶ前の話ですが、入試直前まで早稲田を目指して勉強して
きた私の友人に、3月末ごろ会った時に、「結局早稲田には受かったの?」と聞くと、「いや・・・実は後期で東大に
受かった」と言われてびっくりしたことがあります。現在の東大後期の受験科目は当時とは異なりますので、今でも
ありえる話とは限りませんし、受験生の大半は、前期と後期を併願するため、結果的に、後期は前期の「敗者復活戦」
的な役割を果たしているのも事実です。でも結局、このことが分離・分割方式の当初の目的の達成を疑問視する声と
なり、上記の通り、後期縮小につながったと言われています。
●センター試験では、5or6教科 7or8科目(英、数?・?、国、理2・地歴・公民から1or
2科目)が課されるところが多く、科目が多く出題が広範囲
今回の新課程に伴う変更により、国公立大学では、一部の例外を除き、ほとんどがセンター試験で5(または6)
教科7(または8)科目の受験が必須ということになりました。内訳としては、多くの文系では外国語、国語、数学
?A・?B、地歴・公民から2科目、理科は基礎4科目から2科目が、理系では外国語、国語、数学?A・?B、地歴・
公民から1科目、理科2科目が課されることになります。
これは、二次が記述式なのと同様、国公立大を受験する上で苦労する点の1つです。私大でも必要な、主要3科目の
勉強だけでも大変なのに、さらに文系の方なら数学や理科、理系の方なら国語や地歴・公民(地歴は負担が大きい
ので選ぶ人はまれです)までやらなくてはいけません。ということは、私大志望者が主要科目にかけている時間と
労力の一部を、センター試験でしか使わない科目に回さざるを得なくなります。
ということは、それを見越した綿密な計画を立て、よほど効率よく実行しないと、全ての科目が中途半端
になり、国公立大はおろか、私大すら演習不足が合否に影響しかねません。そのため予備校や高校では、
そうなりそうな生徒に、私大に転向させ、主要3科目にしぼって勉強することをすすめることがあります。でも、
生徒は生徒で、せっかくここまで国公立大を目指してがんばってきたのに、ここであきらめてしまったら、今まで
かけてきた時間と労力(特にセンターのみの科目にかけてきた分の)が無駄になったり、金銭面で保護者の方に
迷惑をかける結果になることを嫌ったりするため、簡単には決断できません。毎年恒例とはいえ、この手の話に
なりますと、生徒だけでなく、私も結構つらいのです。
●センター試験と二次試験との配点比率が大学によって大きく異なる
例えば、東大では、センター:二次が1:4で圧倒的に二次重視ですが、お茶の水女子大の文教育学部では1:1と
同率、東京学芸大では9:5や3:1など、センター重視の先行逃げ切り型になっています。このように、大学に
よって全然違いますので、特に注意してください。ただ、旧帝大など、難関大ほど二次重視の傾向が強い
と言えるでしょう。
●大学によっては、センター試験の成績によっての二段階選抜がある。
これは、特に東大・一橋などの超難関大や、医学部に多い傾向なのですが、センター試験の成績が一定の基準を
満たしていない志願者を、言わば「予選落ち」という形で、二次を受けさせることなく、センター試験の結果
だけ不合格にして、合格した志願者のみ二次を受けられるようにすることがあります。これを「二段階選抜」
といい、不合格にしたりされたりすることを、よく「足切り」と言ったりします。これは、志願者数があらか
じめ決められた倍率を超えた場合にのみ実施する大学もあれば、事前に足切りの対象となる点数や、「平均点
の▲%未満」といった基準を定めている大学もあります。もし志望校に二段階選抜実施の可能性があれば、
よほどしっかりセンター試験の対策をやらないと、二次の受験すらできなくなります。また、センター試験の
結果が思わしくなければ、出願校を変更するなどの決断も迫られることになることも念頭に入れておきましょう。
尚、センター試験時に配られる問題用紙は持ち帰り可能です。そのため、そこに自分がマークした答えを記録
しておき、それをもとに翌日の朝刊などに掲載される解答を見ながら自己採点を行い、その結果を大手予備校が
主催する「センターリサーチ」と呼ばれるシステムを活用し、合格の可能性を判定してもらい、それを判断基準
にするのです。具体的には、自分の志望校や自己採点した結果(点数)を指定の用紙に記入・マークし、センター
明けの月曜日の午前中までに提出します。そうすると、大手予備校が、それをもとに合格の可能性をシュミレー
ションし、その結果が模試の結果表のような形で出てきますので、それを参考に決めることになります。結果が
出るまでには約1週間ほどかかりますが、出願には十分間に合います。
2.具体的な流れ
2015年の入試日程は以下の通りです。
●センター試験受付期間: 9/29(月)〜10/9(木)
高校生は高校で、浪人生は個人で申し込みをします。浪人生は
卒業証明書が必要ですので、早めに高校に行って入手してください。
●センター試験: 1/17・18(毎年1/13以降の最初の土・日に行われます)
●二次出願期間: 1/26(月)〜2/4(水)
●第一段階選抜の結果発表日: 前期は2/11(水)、中期は2/20(金)、後期は2/28(土) までに行われます。
●前期日程試験: 2/25(水)〜
●前期合格発表: 3/6(金)〜10(火)※公立大は3/1(日)〜10(火)
●前期入学手続き締切日: 3/15(日)
●中期日程試験: 3/8(日)〜
●後期日程試験: 3/12(木)〜
●中期合格発表: 3/20(金)〜23(月)
●後期合格発表: 3/20(金)〜24(火)
●中期・後期入学手続き締切日: 3/27(金)
国公立大を受験予定の方は、確認しておいてください。