大学にかかるお金について

特にこのページは、受験生だけでなく、ぜひ保護者の方にお読みいただきたいと思います。

「大学にかかるお金」と一言で言っても、大きく分けて3段階あります。それは、

1.入学するまでにかかるお金
例:予備校の学費、書籍代、模試代、受験料、辞退する大学への納入金

2.入学する際にかかるお金
例:入学金、初年度授業料、その他設備費・研究費

3.入学してからかかるお金
例:2年次〜4年次授業料、下宿させる場合は生活費

です。では、これらを順番にみていきましょう。


1.入学するまでにかかるお金


まず、このうち、予備校の学費や、問題集や参考書代・模擬試験代などに つきましては、ブログで詳しくご紹介させていただいておりますので、そ ちらごご覧いただくとして、この場では割愛させていただきます。今回は 主に、受験料についてお話いたします。

まず、このうち、予備校の学費については、予備校に通わせている方なら 既にお支払いしているはずですから、おわかりのことと思いますので、今 回は省略いたします。ただ、今後、前回お話しました夏期及び冬期・直前 講習代などは、これからも別途発生する料金ですので、あらかじめご用意 いただければと思います。また、細かく言えば、問題集や参考書、模擬試 験代などもありますが、他の費用から比べると少額ですので、これらも省 略いたします。とはいえ、「塵も積もれば・・・」といいますので、ご予 算を立てる際には、一応考慮に入れた方がよろしいかと思います。

2015年度の場合、センター試験の受験料は、3教科以上の受験する場合は18,000円、2教科以下の場合は12,000円です。また、国公立大学の入学検定料(二次試験料)は1回につき17,000円です。私立大学の一般入試の受験料の相場は約35,000円、センター試験利用入試の場合は約15,000円となっています。ちなみに、もし私立大学を、一般入試で7校受験する場合、

35,000円×7校=245,000円

というように、単純になるとは限りません(これだけでも十分大きな出費なのですが)。別の機会に改めてお話いたしますが、近年は、A・B・C日程などの複数回受験を行ったり、2/1〜3までの試験日自由選択制をとる大学もあるため、これらの日程をフルに活用すると、1校で2、3校分の受験料がかかったりするのです。さらに、複数の学部を受験したり、ここ何年かの間で浸透した、「全学部入試(詳細は別の機会にお話いたします)」などを利用したりすれば、さらにかさんできます。

また、これらが全て地元なり、自宅からでも何とか受験会場に行ける大学ならいいのですが、遠方の大学を受験する場合は、受験料プラス交通費や宿泊費が必要です。もっとも、最近では、「地方入試」と言って、日本の各主要都市を受験会場にする形式の入試を実施する大学が増えてきました。ですので、これらを受験することで、多少の節約にはなりますが、受験校全てで実施しているとは限りません。

以上が受験料を中心に、受験時に発生するお金についてですが、実はこれ以上に保護者の方を悩ますお金があります。それは、入学を辞退した大学に払う(ことになるかもしれない)入学金等のお金です。

これはどういうことかといいますと、一概に言って、私大の入試は、難関大ほど、つまり上位志望校ほど入試日程が遅い傾向があります。ということは、上位志望校を受験するまでに、中・下位志望校のどこかに合格しているという前提で受験することになります。そのこと自体はともかく、問題は、上位志望校の合格発表日までに、既に合格した中・下位志望校の手続き締切日が来てしまうことがあることです。つまり、上位志望校の合否が確認できないうちに、納付金を払わざるを得なくなるのです。

もちろん、入試日程は事前にわかりますので、これを避ける、つまり、中・下位志望校の手続き締切日が、上位志望校の合格発表日よりも遅くなるように受験校を選べばいいのですが、100%避けられるとは限りません。かと言って、払わなければ合格は取り消しとなりますので、手ごたえのあったはずの上位志望校がもし不合格になると、一気に「全滅」の危機にさらされますので、そうもいきません。ということは、この事態への備えも必要になってくるのです。

ちなみに、何年か前までは、払った後で上位志望校に合格したために、入学を辞退した大学に、文系でも100万円以上も払い損になることもあったのですが(これをよく「ドブに捨てる」と言います)、あまりに理不尽だということで、訴訟にまで発展したことがあります。その際、「入学金以外の納付金は返還する」という判決が出たため、これに落ち着き、今ではこれがスタンダードになっています。以前と比べると格段に良くはなりましたが、大学によって異なるものの、入学金はだいたい25〜35万円ぐらいですので、少なくともそのくらいのお金は、「ドブに捨てる」覚悟でご用意いただかざるを得ないのです。とはいえ、上述の通り、全く避けられないことではありませんので、受験校選びの際は、予備校の職員や高校の先生に、この点もよくご相談していただければと思います。その上で、考えようによっては、そのお金で上位志望校の結果待ちができるわけですから、「入学する大学の納付金+辞退する大学の入学金」の合計が、本来払うべき金額だと思って、前向きな気持ちでお支払いいただくのがよろしいかと思います。実際、お子さんが早稲田に合格した場合、入学金をドブに捨てるのがもったいなくていやだという理由だけで、合格を辞退するご家庭は少ないと思います。日本最高峰の私大ですので、そうしてでも入学させる価値があると思われるからでしょう。私が言うことではないのですが、お子さんへの「ご祝儀」だと思ってご納得いただくしかありません。

このように、入学時はもちろんですが、入学前だけでもかなりの出費があることを、あらかじめご確認いただいた上で、ご予算を組んでいただければと思います。ご用意いただいた上で、払う必要がなくなるのが理想です。


2.入学する際にかかるお金


合格後、入学手続きをされる際に大学に支払う費用は、「初年度納付金」などと一言で言われますが、内訳がいくつかあります。入学金、1年次の授業料のほか、「施設設備費」「実験実習費」といった、施設や実験・実習に伴う費用があります。このほか、「後援会費」「学会費」「保険料」などの名目で、任意に徴収されるものもあります。ご存知の通り、こうした費用は、国公立大と私大、文系と理系とでそれぞれ大きな差がありますし、私大の中でも大きな差があります。

国立大は、かつては文部科学省の内部組織でしたが、2004年度に法人化され、自立度が高くなったことで、一応入学金・授業料とも、各大学が独自に決められるようになりました。でも、実際には、文部科学省令で定められている「標準額」になっているところがほとんどです。ですので、入学金や授業料に差はほとんどありませんが、その他の「施設設備費」「実験実習費」などを含めた、諸会費の徴収の有無に差がありますので確認が必要でしょう。ちなみに公立大では、授業料こそ「標準額」になっているところが多いですが、入学金は、大学のある都道府県または市の出身者が割安となるよう、設定されているところがほとんどです。

  私大の場合、初年度納付金の平均額は、文系で約120万円、理系で約170万円、医・歯学部系で約900万円、その他芸術系では約180万円です。でも、これはあくまで平均で、上述の通り、実際には大学や学部の種類によってもかなり異なりますし、また、同じ大学でも、学部ごとに金額が違います。ですので、これらはあくまで目安としてお考えいただき、詳細はお子さんの志望大学・学部ごとに、学生募集要項などで必ずご確認ください。

尚、私大の場合、金額だけでなく、お支払い方法についてもご確認いただく必要があります。これには大きく分けて、一括納入する場合と、二段階で納入する場合とがあり、大学によって異なります。一括納入する場合には、もし上位志望校に合格し、入学を辞退する際は、大学側が入学金(等の手付金)以外を返金する形式が採られます。ただし、AO・推薦入試は、「合格=入学」が大前提で、そもそも入学辞退を想定していないため、たとえ辞退したとしても、返金はないぐらいのつもりでお考えいただいた方がよろしいかと思います(併願可の場合を除く)。また、3月入試など、遅い日程の入試の場合、合格発表から新学期までの時期が短いため、返金しない前提での一括納入になる場合があります。さらに、たとえ返金されるとしても、返金申請の期間が3月末日までなど、期限があるところがほとんどです。ですので、いつまでに申請すれば返金されるのかも必ずご確認ください。

二段階で納入する場合は、1回目の手続き期間中に(合格発表後1週間〜10日間)入学金等の手付金を払い、そのまま入学する場合のみ、2回目の手続き期間中に、授業料など残りの金額を払い、辞退する場合は、2回目の手続き期間中には特に手続きをしない(つまり、大学側としては、2回目の手続きがなかった時点で、入学を辞退し、一段階目の納入金も放棄したものとみなす)という流れになります。また、二段階なのは同じですが、手続き方法が違う大学もあります。よく「延納方式」と呼ばれているのですが、これは、期日までに申告すれば、入学金以外の納入金の支払いを延期してもらえる(延納の期限は、国公立後期試験の合格発表日までがほとんどです)ところがあります。これも大学によって異なるため、確認が必要ですが、要は、先に全額払って後で返してもらうか、二段階で払うかの違いで、納入方法による支払い額の差があるわけではありません。ここでご確認いただきたいのは、お支払いするタイミング、つまり、いつまでにお金を用意するかについてです。会社員の方か自営業の方かで、まとまったお金が入ってくるタイミングが違うでしょうし、下のお子さんも中学や高校を受験される場合は、その分出費も多くなりますので、この違いが大きく影響することもあります。念のためご注意いただければと思います。

3.入学してからかかるお金


入学してからかかるお金として、まずご確認いただきたいのは、授業料が発生するのは入学時だけではなく、あと3年間分必要だということです。しかも、「スライド制」といって、学年が上がるごとに授業料も上がる大学がほとんどですので、単純に「初年度の授業料×3年分」というわけではありません。平均額は、国公立大で約160万円、私大で約220万円〜300万円くらいですが、当然大学・学部によってかなり違いますので、これも大学ごとにご確認いただければと思います。ただ、ご自宅からの通学の場合は、これ以外にかかるお金は、今まで通りの生活費程度でしょうから問題はないかと思いますが、ご自宅からの通学が距離的に難しい場合は、下宿に伴う費用が別途必要ですので、皆様のご負担は大きくなります。

まず引越費用として、引越業者に依頼する費用ももちろんですが、最もかかるのはアパートやマンションを借りる際にかかる費用です。内訳は、最初の月の家賃のほか、敷金・礼金・仲介手数料で、それぞれ家賃の1ヶ月分は最低必要だと思ってください。敷金は、入居時に家賃滞納や補修などの担保として、大家がプールしておくためのお金で、退去時には戻ってきます。ただ、住人側に責任がある破損箇所がある場合は、敷金を使って補修しますので、実際には全額返ってくることはまれです。礼金は、いわば大学でいうところの入学金で、大家に対して払う権利金です。仲介手数料は、読んで字のごとく、不動産物件を仲介した際の手数料として、不動産業者に支払う料金で、不動産業者の収入源になるものです。これは、家賃や敷金・礼金のように広告に記載されておらず、ご存知ない方は、契約時に初めてわかることになるのでご注意ください。ということは、家賃が7万円のマンションを借りる際には、最低でも28万円はかかる計算になります。中には敷金や礼金がゼロの物件もありますが、ゼロなのにはちゃんと理由がありますので、契約内容をよくご確認ください。「家賃を滞納しただけで鍵を変えられた」などというトラブルが多いのは、こうした物件です。もちろん悪徳な物件ばかりではありませんが、念のための注意は必要です。また、これとは別に、地域によっては「更新料」がかかることもあります。これは2年ごとがほとんどで、契約を更新する際に必要ですので、最低1回は必要になります。だいたい家賃の1〜1.5ヶ月分が相場です。

上記のほか、アパートやマンションを借りただけでは生活できませんので、冷蔵庫や洗濯機、テレビ、PC、タンスなどの生活用品を買い揃えるお金や、最初の月の生活費もすぐに必要です。そうしますと、大学の所在地にもよりますが、結局50〜70万円くらいは必要になります。そして、次の月からは毎月生活費の仕送りをしなくてはなりません。例えば月7万円とすると、7万円×47ヶ月=329万円です。これだけでも十分大きな額ですが、ちなみに、下宿している大学生の1ヶ月の生活費の平均は約13万円ですから、本当は7万円でも足りないのです。そこで多くの大学生は、その差額を埋め合わせるために、アルバイトをすることになります。とはいえ、学生の本分は勉強ですので、なるべくアルバイトをさせたくないということであれば、仕送り額はもっと大きくなります。さらに、車の運転免許や、ダブルスクールなどの費用なども必要になるかもしれません。ただ、こうして挙げてもきりがありませんし、事情は各ご家庭によって違いますので、必要であれば、予めその分のご予算も考えておいた方がよろしいかと思います。


以上が、大学にいくらかかるかの内訳です。改めて、ご想像以上にかかることを実感されたことと思います。いろいろ大変かとは思いますが、ぜひお子さんの将来のために、できる限りの努力をお願いいたします。


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