私立大センター試験利用入試について

私立大のセンター試験利用入試というのは、各私大が独自に作成した問題で行うのではなく、大学入試センター試験の結果をもとに合否を判定する入試のことです。以前は大学入試センター試験ではなく、「大学入試共通第一次学力試験(通称:共通一次)」という試験が行われたのですが、これが国公立大(及び産業医科大学)の入学志願者のみが対象だったのに対し、センター試験では私大の参加も可能になり、「センター試験利用入試」として実施されるようになりました。センター試験を受けた受験生がこれに出願すると、大学は出願者のセンター試験の結果を大学入試センターに問い合わせ、その結果をもとに合否を判定します。ですので、センター試験さえ受験すれば、あとは出願するだけで自動的に合否が決まります。ただし、一部の大学では、大学側の作成した入試問題との併用や、別途実技や面接、小論文などを課すことなどがありますので注意が必要です。

1.センター試験利用入試のメリット
●受験料が一般入試より安い
  ほとんどの大学で、15,000円くらいです。一般入試の受験料の相場がだいたい25,000〜35,000円なのと比べると、
  一般入試を1回受ける料金でセンター利用入試が2回は受けられるわけですから、いかに安いかおわかりかと思い
  ます。これは、大学側の負担が一般入試ほど大きくないため、その分受験料も安いということなのです。

●出願さえすれば、直接試験会場に行って受験しなくてもいい大学が多い
  これが何より大きなメリットだと思います。特に、地方にお住まいの方が首都圏の大学を受ける場合など、自宅から
  大学までが遠くて、1回受験しに行くだけでも大変だという方には助かると思います。そもそも、この入試制度がで
  きたのは、地元の国公立大を目指す、地方の優秀な学生の取り込みが目的だったと言われています。確かに、出願
  するだけの大学がほとんどですから、メリットはあるでしょう。また、都市部の学生にとっても、地方の大学を受験
  する場合はもちろんですが、いくらもう1年はやりたくないとはいえ、本命校を受験するのと比べて、「滑り止め」
  校の受験は必ずしもモチベーションが上がらず、そこを受験する時間と労力を本命校への対策に使いたい、と思う
  方もいるでしょう。その点、この入試では、出願するだけでいいわけですから、本命校の受験機会が増やせるのと
  同時に、「滑り止め」の大学にわざわざ受験しに行かなくてもすむようにしようと思えばできるのです。もちろん、
  そうした活用が自分にとって本当に良いことなのかどうかは別問題ですが、それ自体は可能です。いずれにしても、
  金銭面の負担だけで、何校受けても肉体的な負担にはならないのは大きいと思います。

●国公立大志望者にとっては、センター対策だけで私大を受験できる
  上述の通り、この入試は、地元の国公立大を目指す、地方の優秀な学生を取り込もうとしたのがきっかけと言われて
  いますが、それは、遠い受験会場に行かなくてもすむということ以上に、国公立大志望の学生が必ず行う、センター
  試験用の勉強さえしていれば、あえて私大の一般入試用の対策をしなくても、私大の受験が可能になることの方が
  「売り」でした。実際、国公立大に合格するための勉強と、私大、特に早稲田やMARCHなどに合格するための勉強と
  では、科目数からやり方まで大きく違うため、両立させるのは大変です。地方の学生によっては、併願私大用の勉強
  をしてまで、実家を離れて下宿してまで首都圏の大学に行く必要がないと考えれば、地元の国公立大以外は受けすに
  そのためだけの勉強に集中しようという学生がいても不思議ではありません。私大としては、そうした層の切り崩し
  を狙ったわけで、どのみち受験するセンター試験の結果だけで出願でき、合否も決まるのであれば、「それなら出願
  するだけしてみよう」と思う学生もいるのではないかと考えたのです。もちろん、都市部の学生にもメリットがある
  のですから、東大や、その他旧帝大などの国公立大を受験する学生で、私大はセンター利用のみを受験し、センター
  試験終了後から前期試験の日までは、国公立対策に絞って勉強する人も多いようです。

●センター試験さえ受験すれば、何校でも何回でも出願できる
  これも大きなメリットです。原則、私大の入試は国公立大のそれと違い、希望に応じて何校でも受験することができ
  ます。そして、日本中の大学でこの入試が行われているわけですから、金銭的負担はあるものの、理屈上は、1回の
  試験結果で、日本中の私大のセンター利用入試を受験できることになります。実際、以前ある高校で、進学実績の水
  増しをするため、ある優秀な生徒に高校側が受験料を負担し、実に何と70校以上の大学を受験させていたことが問題
  になりました。これは、一般受験では不可能ですが、センター利用入試だからこそできた離れ業(?)なのです。


2.センター試験利用入試のデメリット
●募集定員が少ないため、倍率も高く、一般入試ほどあてにはできない
  やはり最大のデメリットはこれでしょう。確かに「受けやすい」入試ではありますが、よほど高得点をマーク
  しない限り、少なくとも私大単願の人にとっては、「受かりやすい」入試とは必ずしも言えません
。本命
  校に合格したいのであれば、一般入試を受けた方が合格の可能性が高いため、期待できるとすれば、せいぜい「滑り
  止め」の大学が確保できるかどうかだと思います。それでも、出願すればその分チャンスは生まれますので、可能性
  自体はもちろんありますが、受験のチャンスが1回増えた程度と考えておき、過剰に期待しない方がいい
  のではないかと思います。

●センター試験で失敗すると、その時点で事実上全滅となる
  これは、「センター試験さえ受験すれば、何校でも何回でも出願できる」というメリットの裏返しです。確かに1回
  センター試験を受ければ、その結果だけで日本中の大学のセンター利用入試を何校でも受験できることができます。
  でもそれはあくまで、センター試験で「成功した」と思えるような点数を取った場合です。センター利用入試のハー
  ドルの高さを考えると、もし失敗した場合、その時点で出願済の全ての大学の合格は見込めず、センター
  利用入試への出願を予定していた大学も、もはや出願する意味がなくなる
のです。この点が、たとえある
  大学の入試で失敗しても、気持ちを切り替えて次に臨める一般入試との大きな違いです。もっとも、センター利用
  でも期待できそうな大学が残っていたとしても、「失敗した」と思う点数なのに可能性が消えないのなら、一般入試
  を受けた方がむしろ確実でしょう。この、センター試験のたった1回の失敗で、いわば「雪崩」のように出願済及び
  出願予定の大学で事実上の全滅になってしまうという意味では、最も大きなデメリットであると言えるでしょう。

●センター利用入試でのみ課す科目がある大学がある
  例えば、東京理科大では一般入試にはない国語が課されたり、その他、一般入試では国語が現・古なのに、センター
  利用では漢文があったりと、センター利用入試でのみ課される科目がある大学もあります。これは国公立大志望者の
  取り込みが目的と思われます。5教科を勉強せざるを得ない国公立大志望者にとって、元々3教科に絞って勉強して
  いる私大単願の方との勝負は、難関大になるほど不利になりやすいため、どのみち勉強する、センター試験でしか
  使わない科目がセンター利用入試で課される方が、私大単願が受けづらくなる分、有利になるからです。というこ
  とは、私大単願の方は、これだけのために勉強(受験)する科目を増やさず、こうした大学は一般入試でのみ受験
  するか、元々3教科型のセンター利用入試を行う大学に出願するのが妥当です。

●私大単願の人にとっては、センター試験用の勉強をやる必要性が生じる
  特にセンター利用入試をあてにしていなければ、本来は私大単願の方は、センター試験を受けなくてもいいのです
  が、やはりあらゆる可能性を考えて受験を薦められるでしょうし、受験する方も多いと思います。ただ、たとえ
  「あわよくば」という気持ち程度であっても、一応本番の試験を受けるわけですから、全く何も対策をしないわけ
  にはいかず、勉強時間の一部をセンター対策に充てる必要性が出てきます。新たに別の科目の勉強が加わるわけ
  ではありませんし、そうする必要もありませんので、そこまで大きな負担にならないとは思いますが、それでも
  やはりある程度時間を割かざるを得ないでしょう。ただ、標準的な良問ですので、いい勉強にはなると思います。


尚、大学側の立場からメリット・デメリットを挙げるとすれば、何回実施しても、問題作成や試験当日の運営など、入試の諸業務への負担が軽く、気軽に受験してもらえる分、受験料が安くてもある程度の収入を確保できる、などのメリットがあります。ただその一方で、必ずしも大学として来てほしい学生や、その大学に合った学生が受験・入学するとは限りません。そのため、入学後のフォローが大変だったり、何より歩留まりが悪かったり(つまり合格者の入学辞退が増える)するデメリットがあります。いずれにしても、学生・大学共に一長一短ある入試でなのです。

センター試験利用入試の「前出し」と「後出し」とは?

また、センター利用入試の出願をする際に気を付けていただきたいのは、出願締切がセンター入試日前日(つまり、願書をセンター試験日より「前出し」する)なのか、試験日以降(つまり、願書をセンター試験日より「後出し」する)なのかということです。これは大学によって全く異なりますので、十分な注意・確認が必要です。

★「前出し」について
「前出し」の場合、センター試験の結果をふまえての出願ができないため、本命校や一般入試の日程が重なる大学など、たとえ結果が悪くても開き直れる、気持ちを切り替えられるような大学でもない限り、やはり「出願したはいいけど、本当にセンター試験で良い点が取れるだろうか?」といった不安が伴い、簡単には出願できないと思います。しかも、一度出願してしまうと、センター試験で失敗したからといって、出願を取り消すことができず、受験料の無駄になりかねません。そのため、結果によっては、合格発表日を待たずして「不合格だろう」とわかってしまい、「これなら出願しなければよかった」ということにもなりかねません。これが「前出し」のデメリットです。

とはいえ、結果を見て出願できないということは、他の受験生が失敗しても出願を取り消せませんので、そういう人が多いと点数にばらつきが出るかもしれませんので、「チャンスが1回でも増えれば」と思って出願した本命クラスの大学でも、合格の可能性が出てくるかもしれません。しいて言えば、これが「前出し」のメリットではありますが、全国には同じことを考える人がいますので、それを狙う人が多い分、高倍率になる傾向があります。

★「後出し」について
一方、「後出し」の場合は、何と言っても自分の点数を確認した上で出願できるので、可能性のある大学を選んで出願できるのが最大のメリットです。また、センター前期・後期など、呼び方はそれぞれですが、センター利用入試だけで複数回実施し、出願できる大学もあります。ただ、点数が確認できる分、慎重に出願する傾向がみられます。そのため、結果として「団子レース」状態となり、よほどの点数でなければ、希望の大学への合格は難しいのがデメリットです。そもそも、「上位校」に位置付けされる大学は「前出し」の形式をとっているところが多く、「後出し」ができないケースが少なくありません。そういう意味でも、「後出し」は実質「滑り止め用」ということになります。


また、これについても大学側の立場から言えば、出願締切日をセンター前日にした場合は、本当に自校を志望する学生が集まる可能性が高くなるため、歩留まりが「後出し」ほどの悪さにはならないとの期待が持てるメリットがある反面、当然ながら1年に1度しか実施できないため、「後出し」との併用をしない限りは、その分受験料収入が少なくなりうるデメリットがあります。出願締切日をセンター後にした場合は、何と言っても出願がしやすい上、同じ年度に何度でも実施できる分、受験料収入も多く見込めるという大きなメリットがあります。ただその反面、自校が上位志望という学生が多く集まるとは限らないため、いくら合格者を出しても歩留まりが悪いのがデメリットです。


このように、入試形式は同じでも、出願締切日がいつなのかでメリットやデメリットが全然違うことになります。また、大学側が出願締切日をいつに設定するかで、その大学の姿勢・スタンスがある程度わかるということも言えます。もしセンター試験利用入試を受けようと考えている方がいるようでしたら、まずどういうスタンスで受験するかを決めるようにしてください。それによって、受験する大学の組み合わせも変わってくるからです。

センター試験利用入試を実施する大学について

センター試験利用入試の内容については、おわかりいただけたでしょうか? もしご興味がおありの方は、受験予定の大学ごとに確認してみてください。「前出し」か「後出し」かだけでも大学によって異なります。各大学の詳細は、パンフレットや募集要項、受験雑誌やインターネットで確認することができます。ここでは、どこの大学でどう実施しているのかをまとめて調べたい方のために、いくつか検索できるHPをご紹介いたします。よかったら参考にしてください。

  • リクナビ: http://shingakunet.com/net/nyushiSearch/list/nyushiShubetsu/daitan/T04

  • 大学受験パスナビ: http://passnavi.evidus.com/search_univ/precenter#000000000000---

  • ナレッジステーション: http://www.gakkou.net/daigaku/src/?srcmode=ntk&ntk=2

  • マイナビ進学: http://shingaku.mynavi.jp/search/dt/#ft%3D4

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