冬休みの過ごし方

入試本番まであとわずかに迫った受験生の方々にとっては、冬休みはとても貴重な時間です。そんな冬休みを有効に使い、いい形で本番に臨めるようにするためにはどうすればいいのかについてご紹介したいと思います。また冬休みは、高1・高2生にとっても、受験生に引けを取らないくらい重要です。それに、まだ受験生ではないとはいえ、決して先の話ではありませんので、特に難関大を目指すのであれば、早いうちから準備しておけば、高3生になってからかなり楽です。そういう意味を込めて、受験生・高1・高2生それぞれについて、充実した冬休みになるようなご提案をしたいと思います。


受験生編

いよいよ入試本番まであとわずかです。ここからはいかに時間を大切に使って効率の良い勉強ができるかにかかっています。とはいえ、過剰な緊張感は逆効果です。この時期は日本獣の受験生にプレッシャーがかかっていることを意識し、無理をしすぎることのないよう、「合格した自分」をイメージしながらポジティブな気持ちで勉強をしてください。

それでは、冬休みの過ごし方について、もう少し具体的にお話したいと思います。

1.冬期講習と赤本、問題集をうまく駆使して最後の追い込みをかける

さすがにこの時期に赤本をやっていない受験生はいないでしょう。ですので、受験生ならこの時期に赤本をやるのは当たり前で、その時間の確保のために冬期講習をほとんど取らないのでは、予備校を有効活用しているとは言えません。冬期講習は、赤本を解いてつかんだ傾向をふまえ、どう対策するかを効率よく教えてもらう場だと思ってください。確かに、赤本を繰り返し解くことは大事ですし、必ずやってほしいことです。でも、対策をやらないまま赤本を解き続けても、結局同じ傾向の問題で引っかかってしまいます。予備校に通っている方は、せっかく今まで頼りにしてきたのですから、最後の最後なのに自分だけでやろうとせず、こういう時期だからこそ、プロの講師にお願いしてほしいと思います。何より、合格するには、他の人と差をつけなければいけませんが、日本中の受験生の誰もがやっている赤本だけでは、なかなか差はつかないのです。もちろん、たとえ冬期講習を取ったとしても、それだけでもなかなか差はつきません。講習を通じて習ったことを定着させるため、そしてテキストに書いてあったことや、授業で出てきた内容を、本番で生かせるようにするために、反復練習をするための問題集も必要です。これは意外と忘れがちなのです。そして、反復練習をしたら、また赤本に戻って対策を続けるのです。

2.2学期(後期)テキストを解き直す

この時期はどうしても赤本中心になり、2学期(後期)のテキストはもはや「過去の産物」に成り下がっている方がいるようですが、それは非常にもったいないです。おそらくどの予備校でも、英・国は1学期(前期)が基礎編、2学期(後期)が応用編になっていると思いますし、数・理・地公は、1学期(前期)から2学期(後期)までで一通りの内容をこなすカリキュラムになっていると思います。入試では当然、応用問題が出題されますし、一概に言って、歴史の近現代史に代表されるように、入試では、後の方で学習する単元ほどよく出題される傾向があります。ということは、2学期(後期)の学習内容は、まさに入試最頻出の内容です。これらがしっかり理解できていないと、赤本の正答率も上がりません。過去問対策や反復練習の一環として、赤本を解く合間に、問題集と併せてぜひ解き直し、しっかり復習してください。理想は、2学期(後期)の授業が終わってから、最初に受講する冬期講習の講座が始まるまでの間に仕上げることですが、講習を通じて、2学期(後期)の学習内容が定着していないことがわかったら、適時2学期(後期)テキストに戻って復習し直してください。

尚、上記の1・2の内容をまとめますと、

1.赤本で傾向を掴む
     ↓
2.冬期講習や2学期テキストで、その傾向についての対策をする
     ↓
3.問題集や2学期テキストで反復練習を行う
     ↓
4.赤本を繰り返して定着しているか確かめる


といった繰り返しを、本番当日まで続けてほしいということです。

あと残りわずかです。今まで勉強の中心に置いていた予備校、問題集、赤本の全てを駆使し、それらを信じ、それぞれのメリットを最大限に生かした上で合格を目指す方が、合格の可能性はより高くなるはずです。

3.健康管理には十分注意する

既に、高校や予備校で再三言われているとは思いますが、大事なことなのでここでも繰り返します。健康管理は、実際の勉強と並び、最大の受験対策の1つです。特に風邪、そしてインフルエンザには十分注意してください。うがい・手洗いを励行し、湯冷め・うたた寝は避けてください。ただ、人間ですのでいくら注意しても体調が悪い時はあります。そんな時は、早めに勉強を切り上げて寝てください。やることがまだ終わっていないからといって無理をした結果、風邪をこじらせて勉強を2、3日中断するのでは何にもなりません。それなら、こじらす前に体を休めた方がましです。何より、風邪をひいたことで、勉強ができなかったことに対する精神的なプレッシャーの方が心配です。尚、学習計画は、英語や、次の日までにやらなくてはいけない予習や学校の宿題など、優先順位の高いものから仕上げておくと、万一の時に、最低限のロスで留めることができますので、工夫してみてください。

4.完全な朝型にする

夏休みの時にもお話したとは思いますが、健康管理の一環として大事なことですので繰り返します。これも、実際の勉強と並び、最大の受験対策の1つです。夜型ということは、夜更かしをしているということですから、体によくありません。とはいえ、実際には、やるべきことをやろうとするあまり、どうしても夜中の2時3時までかかってしまう、という方も多いかもしれません。気持ちはよくわかりますし、今までもそうしてきたのであれば、入試直前の今なら、なおさら夜中までやってでも間に合わせたいのが本音でしょう。でも、それは本当にやめてください。

日常生活を振り返ってみてください。午前中からお昼過ぎにかけて、眠たくなったりボーッとしたりしていませんか? それでも高校生の場合は体育もあるため、何とかごまかせているかもしれませんが、日中に集中力が保てず、なかなか勉強がはかどらないから、間に合わせるためには夜更かしをせざるを得ないのです。それで授業内容が頭に入らず、その分復習に時間がかかったのでは、何のために夜中にまで勉強しているのかわかりません。そして、これも以前にお話しましたが、日中ボーッとしている時間帯こそが、受験本番の時間帯なのです。これからは、その時間帯が自分のベストコンディションになるように、体調管理をしていかなければなりません。完全な朝型になるよう、うまく調整してください。そして、遅くとも12時には寝てください。12時になったら強制的に電気が消される環境下にいるつもりで勉強すれば、12時から逆算して学習計画を立てることができるでしょうから、起きている時間が減ったとしても、効率はかえって上がると思います。ぜひ実行してください。

5.受験校の最終チェックを行う

皆さんは、既に受験校をある程度決めていることと思いますが、それらで本当に大丈夫なのか、年内に改めてチェックを行ってください。もし、候補を決めてから今までに結果が返ってきた模試でも判定が思わしくなく、全滅への不安が完全には消えないようであれば、確実だと思える滑り止め校をもう1校増やしてみてください。ただ、それ以外のレベルの大学を、今から増やすのは避けた方がいいと思います。確率論から言えば、数を増やせば、その分合格の可能性は高くなります。でも、その分入試日程が窮屈になる上、滑り止めならまだしも、ある程度のレベルの大学を受験するのには、相当の体力が必要です。その結果、本命校の受験日まで体力が持たず、力が思うように発揮できない事態にもなりかねません。それでは本末転倒ですので、新たに受験したい大学がもしあれば、できればその分受験する大学を削り、受験校の数自体を増やさない形で調整することをおすすめします。そして、おそらく今年度の模試は一通り終わったと思いますが、もしまだ受けた模試の結果が返ってきていなければ、それが返ってきた時に、国公立受験や私大のセンター利用を考えている方は、センターリサーチの結果が返ってきた時に、受験校の最終決定をしてください。


いかがでしたでしょうか。確かに限られていますが、まだ時間はあります。悪あがきでも何でもかまいませんので、最後の最後まであきらめず、合格のために必要なことを1つでも多くこなし、1つでも多くの重要事項を覚え、1問でも多く問題を解くつもりで、貪欲に取り組んでください。応援しています。

非受験生(高1・高2生)編

高2生の方は、この冬休みをきっかけに、受験生になったつもりで本格的に勉強に取り組みましょう。高1・高2にかかわらず、特に国公立大希望の方は、こなすべき科目が私大専願の方よりも多く、一通りこなすのは大変です。既に受験生だというつもりで、英語でも数学でも始められることから始めてください。高3になってから始めるのと、今から始めるのとでは、その効果は全然違います。浪人生のように、勉強だけに専念できる1年ならともかく、定期テスト及びその対策のほか、部活や文化祭など、いろんなことにおいて3年生が中心になってやるわけですから、その分時間や労力を費やすことになります。もちろんそれは、高校生だからできることであり、いい思い出にはなりますが、受験生という立場から考えますと、受験勉強を進める上での貴重な時間が多く取られることになります。ですので、そうなった時にあわてることがないよう、今のうちから出来る限りのことをしておいた方がいいのです。

また、部活との兼ね合いについてですが、3年になりますと、勉強も忙しくなりますが、同時に部活も、レギュラーとして出場する大会が多くなり、その分練習量も増えるでしょう。ということは、部活をやっている方にとっては、いかに受験勉強と両立させるかが勝負の分かれ目になります。でも、どちらも忙しくなった時点で、いきなり両立させようとしても限界がありますので、今のうちから両立させる練習をしておくと、3年になった時に楽です。そこで、もし「部活も忙しいし、まだ受験生ではないし・・・」といった理由で、冬期講習を取らないつもりでしたら、ちょっと考え直し、冬期講習と部活との両立を通じて、来年度の「予行演習」をしてみてください

中には、既に予備校に通っており、普段から「予行演習」をしているという方もいるかもしれません。でも、そういう方にとっては、今まで習慣としてやっていたことを、1ヶ月以上もやらないのでは、今後元の習慣に戻す時が大変です。冬休みだからといってペースを変えず、どんな時も同じペースを維持することを考え、できれば冬期講習を取ってください。

このことは、高1生にとっても同様です。受験生になるのはまだまだ先だと思われるかもしれませんが、今のうちからできることは、早めにやっておくようにすると、学年が上がるほど楽になります。ぜひ予備校を積極的に活用し、充実した冬休みを送ってください。

それでは、冬休みの過ごし方について、もう少し具体的にお話したいと思います。


1.英・数・国を中心にテーマを決め、計画をしっかり立てる

理・地公は、定期テストごとにその範囲について確認すればいいので、まずは英・数・国の基礎を今のうちに固めておきましょう。3科目が厳しければ、私立文系を目指している方は英・国を、それ以外の方は英・数を優先的にこなしてください。その際、英・数は、時間があまり取れなければ、たとえ30分や1ページでもいいので、必ず毎日やってください。それくらいやらないと、基礎力が身につきません。そして、今学期の学習範囲だけでなく、高1の最初の単元から復習してください。


おそらく、多くの高校では、3学期に1回、さらに新学年になると、6月くらいまでに1回模試を実施すると思います。模試は定期テストと違い、毎回高1の最初の単元からが範囲です。そのため、今までに習った単元の復習をすると同時に、苦手科目があれば、今のうちに克服しておかないと、重要事項を忘れた状態のまま、苦手意識があるまま模試を受けることになり、その結果、大量失点につながりかねません。だからというわけではありませんが、既に高校では習ったものの、どんどん次の単元に進んでしまうため、理解しきれないままになっている単元の復習を、なるべく早い時期にやっておいた方がいいと思います。もしノートや参考書を見直しても理解できなければ、予備校の講師にそのノートや参考書を見せた上で、どこがわからないのかをぜひ質問してください。今のうちに「質問慣れ」をしておくと、苦手科目の克服のための強い味方になりますし、これからわからないことがあった時に、質問がしやすくなるのでかなり有利です。

尚、国語は、とにかく定期的に問題を解く機会をつくることと、今のうちに古典文法をしっかりこなすことさえ意識して取り組めば大丈夫でしょう。

本格的に受験勉強をすればわかりますが、「英語を制する者が受験を制する」は本当だと思います。文系はもちろん、数学や物理で難問が出題される大学の理系学部の入試ですら、結果を左右するのはやはり英語です。本当は、最低でも英語だけで1日2〜3時間は勉強してほしいのですが、諸事情でそこまで時間が取れないようであれば、上述の通り、たとえ30分でも1ページでも英語は必ず毎日やってください。それくらいやらないと基礎が完成しませんし、完成しないと、後回しにせざるを得ない他科目に時間が割けなくなります。英語が不安だと、それどころではなくなるからです。

2.可能な限り、志望学部や志望校について調べる

わかる範囲で結構ですので、今のうちから大学・学部研究はやっておいた方がいいと思います。自分のやりたい勉強ができるのはどの学部なのか、また、その学部があるのはどの大学なのか、その大学にはどんな特色があり、卒業後どんな仕事に就いている人が多いのかなど、調べることはたくさんあります。高3になったら、こうした情報をもとに絞り込みをした上で、第一志望校を含めた最終的な受験校をスムーズに決められるようにするためにも、まだ時間的に余裕のある、今のうちから調べ始めるといいでしょう。

また、「自分のやりたいことが漠然としていてよくわからない」という方は、今のうちに大学・学部研究より先に、「自己研究」をしておくといいでしょう。自分自身がどんな人間で、どんな長所や短所を持ち、どんなことに興味があり、今までどんなことを熱心に取り組んできたのか、などを改めて見つめ直してみてください。それらを経てわかることも多いと思います。尚、既に教員や医師、エンジニアなど、将来就きたい職業が具体的に決まっている方は、そうした仕事に就くために必要なことも、大学・学部と併せて調べておき、できればそれらに関連する本を1冊でも多く読んでおくといいでしょう。知っておくと有利な情報は、早いうちから積極的に仕入れておくとモチベーションアップにつながると思います。

3.2学期使用のテキストや教材及び、今まで受けた模試や定期テストを見直す

夏休みが始まる際に、1学期のテキストをやりっぱなしにしておくのはもったいないため、学習内容を定着させるべく、1学期に使用したテキストや教材の解き直しをすることをおすすめしました。そしてこれは、2学期に使用したテキストや教材も同様です。いい形で新学年につなげるためにも、ぜひ冬休み中に解き直しをしてください。その際は、既に解いた問題ですから、まずは何も見ずに、かつ短めに制限時間も決めて模試のつもりで解き、その後でノートを見返してください。それだけでも充実した復習の機会になると思います。


尚、国公立大志望者で、本当は英語の下線部訳や要約問題の対策をしなくてはいけないのに、時間が取れず、本格的にはそこまではまだ手付かずだという方は、高校のリーダーや、予備校の英文読解関係の授業のテキストを解き直す際、全訳や要約もやってみてください。授業及び予復習で複数回触れている文ですし、重要構文の解説もしてもらったはずです。これらをちゃんと覚え、身についているかどうかを確かめるにはいい機会です。過去に習った文をきちんと訳せないようでは、初めての文を訳すのは大変です。ぜひていねいにやってみてください。もし冬休み中が難しければ、3学期になってもかまいませんので、上述の「2学期の学習範囲だけでなく、高1の最初の単元から復習」するためのいいきっかけとして、今まで受けた模試や定期テストの解き直しも併せてやってみてください。

また、3学期中には、冬期講習のテキストの解き直しもやってください。これを繰り返せば、徐々にではありますが、基礎が定着するはずです。

4.寝起きの時間は変えない。(早寝早起き)

これは「夏休みの過ごし方」の時にもお話しましたが、受験生かどうかに関係なく、全員に共通する重要事項ですので、再度確認いたします。部活がある方は、必然的に早寝早起きをすると思いますが、部活がない方でも、冬休みだからといって、お昼過ぎまで寝て、遅くまで起きているのはよくありません。その分やることが進みませんし、夜になると目がさえて眠れなくなり、結局悪循環です。この時期の朝は寒いため、早起きが大変かもしれませんが、たとえ高校や予備校の授業がなくても、寝起きの時間を変えずに、今までのリズムを維持し、充実したいい冬休みを送ってください。

5.興味がある大学のオープンキャンパスがあれば今のうちに参加しておく

早い大学では、春休みもさることながら、冬休みにも「オープンキャンパス」と言って、興味のある人に大学を開放・公開し、実際にキャンパス内を見学してもらい、大学への関心を深めてもらうためのイベントを行うところがあります。ピークは夏休みですが、さすがに夏休みだけで行きたい大学全てのオープンキャンパスに参加するのは無理があります。たとえ行けても、その分勉強する時間がなくなってしまいます。そこで、現時点での上位志望校や、受験するか迷っている大学があれば、今のうちに行っておくと夏休みの負担が軽くなりますし、気に入ればその分やる気も出てくるでしょう。

実際、迷っている大学であれば、実際に行って自分の目で確かめた方が、受験するかどうかが決めやすいと思います。もし都合が合わなくて参加できない、もしくは冬休みにオープンキャンパス自体がなければやむを得ませんが、それでも冬休み中に実際にその大学に足を運んでみる手もあります。オープンキャンパスとはまた違った、普段の大学の姿を見ることが出来ます。その際、もし複数のキャンパスを持つ大学であれば、必ず志望学部のあるキャンパスの方を見に行ってください。尚、当HPに「オープンキャンパス」のページがありますので、よかったらそちらも参考にしてください。


いかがでしたでしょうか。高校によっては、高2の3学期を「高3の0学期」などと呼んで意識を高めたり、本来なら次年度に習う内容を既に学習させたりするところもあり、入試本番では、そういう高校の生徒とも勝負しなくてはなりません。そういう意味では、既に受験生だというつもりで少しずつ準備をしておくと、今後有利になります。ただし、最優先すべきは、くどいくらいに基礎を固めることです。早いうちから志望校で出題される難問を解こうとするのは逆効果で、むしろ定着に時間がかかるものと心得てください。

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