合格へ一直線! いざ、冬期講習!!

さあ、冬期講習を取りましょう! 「・・・えっ、もうそんな話をするの? 入試まであとわずかとはいえ、さすがにまだ早いのでは・・・」と思われるかもしれません。でも、ほとんどの予備校では、冬期講習の内部生優先受付が始まるのは10月の中旬ぐらいからです。ちなみに、私や同級生が浪人生のころに通っていた予備校でも同じでした。というわけで、夏期講習とはまた違った価値がありますので、まずは冬期講習を取る意義、なぜ取っておいた方がいいのか、その理由と効果といったメリットについて具体的にお話いたします。ぜひ冬期講習を「合格への総仕上げ」「ラストスパートへの起爆剤」として、有効に活用していただければと思います。


1.効率よく過去問対策ができる

これが最大のメリットです。この時期は赤本に専念するのがベストだと思われるかもしれませんが、日本中の受験生がこの時期には赤本(過去問)を重点的にやっているはずです。ということは、受験生がそうするのは当たり前で、それだけでは差がつかないのです。確かに、この時期の勉強の中心は赤本です。各大学の傾向をつかみ、定着させるために何度も繰り返すのですが、問題はそれからです。例えばある大学の英語は、並べ替えの問題が多い上、1問1問がかなり難しいことがわかったとします。このままただ赤本を繰り返すだけでは、何年分やっても克服できませんし、繰り返した結果、たとえ出来るようになったとしても、似た傾向の、違う問題をやってもできるとは限りません。繰り返した赤本の問題の答えを、ただ覚えているだけかもしれないからです。ですので、傾向をつかんだら、それをふまえた対策をした上で赤本を続けるのです。そして、その際に効率的なのが、その対策を冬期講習でやることです。


講師もそのつもりで授業をやりますので、問題の解説に加え、得点するコツや、どこに注意すれば失点せずにすむかなどを伝授してくれるはずです。ですので、復習時にそれらをふまえた対策をした上で、赤本を続ければいいのです。その方が、やみくもにやるよりも印象に残りますし、時間の節約にもなります。さらに言えば、今まで基礎重視の授業をしていた講師でも、この時期には、いわば「裏技」的な内容も解禁することがあります。1点でも多く得点を積み上げるには、こうしたことも知らないよりは知っておいた方がいいと思うからです。これらはまさに、予備校ならではです。

2.朝型を維持できる

大学入試は、だいたい10時から15時くらいにかけて行われます。ということは、この時間帯に体調がベストになるようにするためには、朝型にしておくことが必須となります。2学期が終われば、冬期講習を取らなければ朝からの授業がなくなります。直前期とはいえ、通常授業がなくなると、勉強へのいわば「強制力」が弱まります。たとえ自習室を使うにしても、早起きしなくても誰にも文句を言われない環境は、受験生には逆効果です。冬期講習を取らないことで、結果的に早起きをしなくなれば、貴重な午前中の時間がつぶれるだけでなく、夜型にさえなりかねません。この大事な時期に、まさか昼過ぎまでは寝ないかもしれませんが、自分の力だけで学習ペースを維持するのは至難の業なのです。

その点、冬期講習を取ると、「強制力」が継続されますし、「空いた時間で赤本なり自主勉強を効率よくこなそう」という意識が働くでしょう。たとえ講習が夜からでも、「今日は講習がある日だ」と思えば、早起きして勉強しようという気持ちにもなると思います。

3.職員や講師から激励の言葉がもらえる

この時期は、どれだけ勉強をしても、緊張と不安でどうしていいかわからない心境になると思います。でも、そのことは職員や講師が誰よりも一番良く知っています。ですので、職員なら不安そうな顔をしていると感じるたびに、講師なら授業時に、本番では1人1人の力をせいいっぱい出し切ってもらおうと、出来る限り励ますことでしょう。そして、気持ちよく試験会場に送り出そうとすることでしょう。受験生にとって、これほど心強いことはないと思いますし、独学ではなかなか味わえないことです。

4.高1・高2生にとっては、次年度に向けての勉強が楽になる

高1・高2生にとっての冬期講習は、この1年の復習をする意味で重要です。ここでやっておくと、基礎固めのいいチャンスになりますし、学年が変わって学習内容が難しくなっても、対応が楽です。特に高2生にとっては、来年はいよいよ受験生になるわけですから、早いうちからの受験対策は、結局は合格の可能性を高めることになります。たとえ部活がハードだとしても、せめて英語だけでも取っておくと、今後かなり有利になるでしょう。


おすすめの冬期講習を取り方

冬期講習を受講するメリットはご理解いただけたと思いますが、いざ申し込む場合、何の講座をどのくらい取ればいいのかわからないという方もいらっしゃるかもしれません。そこで、私が冬期講習の相談を受ける際、生徒にどのような話をし、どう取ることをすすめているかについてご紹介したいと思います。ただし、予備校に通われている方は、これらを参考にした上で、自分のことをよく知ってくれている職員や講師に相談してください。


1.主要科目は大学別対策を中心に取る

文系なら英・国・地公、理系なら英・数・理については、もし通っている予備校に、例えば「○○大学英語」などの、志望校別の対策講座があれば、それらの受講をおすすめします。夏期講習では、一部のハイレベルの大学向けの対策講座以外は、ほとんどレベル別の講座だったと思います。でも、この時期ですから、志望校の出題傾向をふまえた講座の方が、対策がより具体的です。もっとも、この時期は赤本もこなしているとは思いますし、また、赤本には「傾向と対策」のベージもあります。ただ、そこには、全体を通しての傾向は書いてあっても、予備校の講師が授業で紹介するほどの具体的な内容は記載されていません。また、過去問を2、3年分も解くと、だいたいの傾向を実感できるかとは思いますが、やはり予備校講師の分析や、おすすめの対策法にはかなわないと思います。この時期には、日本中の受験生が赤本を繰り返しやっていますので、そういう相手に勝つには、赤本を通じてある程度つかんだ傾向をふまえ、どう対策するかにかかっています。だからこそ、よく間違える傾向の問題をどうすればいいのかや、自分だけでは気づかなかった、「○○大ではこれについてはよく聞かれるので、●●などを参考にして当日までにチェックしておきましょう」といった情報を、大学別対策の講座を通じて吸収し、本番に生かしましょう。

2.自分なりのテーマを決めて取る

大学別対策の講座を取る際、例えば第一志望校が早稲田、それ以外に青学、立教、法政、成蹊、日大、東洋、東海大への受験を検討していて、現時点での模試での判定は、早稲田・青学・立教がE、法政・成蹊がD、日大がC、東洋がB、東海がA判定だとします。この場合、どの大学に焦点を当てて受講を検討するかで、取る講座が変わってきます。たとえ現状は厳しくても、早稲田合格を主目的に考えれば、「早大英語」「早慶難関大数学」といったトップレベルの講座を中心に取ることになります。また、最も受験する数の多い、成蹊を含めたMARCHレベルを確実にしたいのであれば、「MARCH必勝英語」「青学・立教現代文」といった、ハイレベルの講座を中心に取ることになります。ただこれらの場合、現状では、まだ学力がこのレベルには達していませんが、取るのは今ではなく年末です。ですので、私の場合、もしこれらを取るのであれば、講習当日までにそのレベルに到達することを目標に勉強してもらうような指導をします。


また、MARCH以上の大学の合格は目指すものの、それ以上に「確実に今年で決めたい」という気持ちの方が強い場合は、現状の学力もふまえ、ハイレベルの講座だけでなく、「英文法・語法総チェック」「センター化学」などの基礎・標準レベルの講座も併せて取ることをおすすめします。ただし、冬期講習で早稲田からセンター対策・滑り止めまで、全てのレベルの講座を全科目で取るのは難しいと思いますので、何を目的として取るのか、自分なりのテーマを決めた上で講座の選択をしてください。目安は、第三者に自分の申込講座一覧を見せただけで、何を目的に申し込んだのかがわかるくらい、一目瞭然になっているかどうかです。

3.国公立大志望者は、年明けまではセンター対策を中心に取る

私大志望者以上に、講座選択が大変なのは国公立大志望者だと思います。上記の講座に、センター試験のみ必要な科目の対策や二次対策も含めて、取る講座を選択しなくてはならないからです。それでも、最優先はやはりセンター対策だと思います。センター試験である程度得点できないと、大学によっては、二次試験でたとえ満点でも逆転は難しかったり、逆に二次試験の配点の方が高い場合でも、もしセンターで失敗すると、たとえ万全の二次対策が出来ていても、センター試験の結果で「足切り」になり、二次の受験すらさせてもらえないことがあったりするからです。つまり、センター試験で高得点を稼ぐことが、何よりも重要なのです。そこで、受講講座は、今まで後回しにしていた、センターのみ必要な科目のセンター対策講座 → 主要科目のセンター対策講座、または私大併願校の対策講座 → 国公立二次対策で優先的にやりたい内容の講座(例:英作文講座、日本史論述対策、小論文対策など)の順で決めていくといいでしょう。もちろんこれには個人差がありますし、大学の難易度や二次試験の科目にもよりますので、まずは予備校の職員や講師などに、受講相談をすることをおすすめします。

4.理科・地歴公民の講座こそ一気にまとめて取る

今までは、通常授業にしても自主勉強、夏期講習にしても、英語中心(理系なら英数中心)だったと思います。でも、主要科目の1つである以上、これからは理・地公の追い込みをかける必要があります。確かに英・数も大事ですが、冬期講習では理・地公の講座を一気にまとめて取ることをおすすめします。理・地公の講座の最大のメリットは、印象に残りやすいため、覚えやすく忘れにくくなることです。講師が勢い余って発する、ダジャレやギャグですら、記憶をたぐりよせるきっかけになります。これはけっこう重要なことで、要は試験当日に、覚えた内容がちゃんと答案に結びつきさえすれば、やり方は何でもいいわけです。こうした講座を楽しく受講しつつ、重要事項の確認ができれば一石二鳥です。

5.コツコツ型ではないと思う人は、講座を取りまくる

これの最大の効果は、冬休みになっても、生活リズムや学習ペースが乱れないことです。ほとんどの受験本では、冬期講習の受講は最小限に抑え、残りの時間でひたすら赤本を解いたり、問題集で最終チェックを行ったりして、過度に予備校や講師に依存しないことをおすすめしています。でも、私の立場から言わせていただきますと、これは、ごく一部の限られた受験生にのみ当てはまるのではないかと思います。それは例えば、コツコツ型で、予備校に通っているいないにかかわらず、特に誰からも何も言われなくても、誘惑を完全に無視し、自らやるべきことを淡々と学習できるタイプの方か、普段から受験対策を意識した授業がかなりあり、冬休みにも講習なり補習がたっぷり組まれているような高校に通っている方、あるいは、既に第一志望校の判定がAかBの方などです。でも、たとえ受験本の著者がかつてこうしたタイプだったとしても、実際にはそうでない受験生の方が圧倒的に多いと思います。そして予備校では、そうでない方のために、いろいろなニーズを考慮した講座を開設しているのです。


この時期になれば、予備校を利用できるのはあと1ヶ月半程度です。せっかく保護者の方に、決して安くない金額を出してもらって通っているのです。それならギリギリまで頼り、元をとろうというつもりで活用してみてもいいのではないでしょうか。また、人間というのは弱い生き物です。受験直前という大事な時期ですら、朝から晩までフリーという状態が何日も続けば、生活リズムも学習ペースも乱れてきます。お昼過ぎまで寝ていたり、ダラダラ赤本をやったりすることもあるのです。つまり、最初は貴重な時間を大切に使おうと一生懸命でも、徐々にマンネリ化してしまうのです。

その点、定期的に冬期講習を取っていれば、自分のやりたい勉強ができる時間帯が限られてきますので、大切に集中して使おうと思うはずです。「朝から講習があるので、6時には起きよう。終わったら、復習と共に、明日の予習を本番のつもりで時間を計ってやってみよう。夕方からは○○大の赤本を1年分、3科目分やろう」などと計画を立てて勉強するようになるでしょう。これならば、マンネリ化とは無縁の、まさに「ラストスパート」と呼ぶにふさわしい、貴重な1ヶ月半になるでしょう

6.高1・高2生は、次年度に向けて英語+(数学or現古)を取る

夏期講習同様、高1・高2生も、今後のことを考え、せめて英語の講座は取っておいた方がいいと思います。また、どの高校も文系・理系を問わず、ある時期までは数学を重視すると思いますので、併せて数学の講座を取るのもいいでしょう。ただ、既に今の時点で私立文系に進むことが決まっているのであれば、数学の代わりに現代文や古文の基礎講座を取ってもいいと思います。また、たとえ部活が忙しくても、せめて1、2講座くらいは取ってみてください。大変なのは百も承知ですが、今部活が理由で取れなければ、来年、部活と予備校(勉強)とを両立させるのはもっと大変です。来年に向けての「予行演習」だと思って、うまく合間を見つけてみてください。その方が後で本当に楽ですし、いい形で次年度につなげることもできます。

inserted by FC2 system