国語の勉強法

ここでは、「○○式勉強法」の提唱者や、あらゆる予備校講師や私のような予備校職員、高校教員まで、受験に携わっている立場であれば、誰もが共通でおすすめしている「基本中の基本」の国語勉強法をご紹介いたします。「国語をどう勉強していいかわからない」という方は、まずはこれらを参考にして、「必ずやるべきこと」を確認してください。

1.現代文は追い込みが効かないので、週1問でも早い時期から継続的にこなす

はっきり言って、当面の現代文の対策はこれしかないと思います。毎日のように問題をこなしているからといって、その量に比例して成績が伸びるとは限りませんが、かといって後回しにしていたら、もちろん成績は伸びませんし、短期集中は効きません。このように、あまりにつかみどころのない科目ですので、定期的にこなし、勘が鈍らないようにすることが第一なのです。そういう意味では、現代文は自分でやるより、予備校の授業を受ける方が効率が良いと思います。「強制力」が働きますし、学校の授業が文章の内容自体の解説中心なのに対し、予備校では設問についての解説も詳しくしてもらえるからです。

2.現代文が苦手な人は、新聞の社説の要約練習をする

これは単純ながら、いろんな職員・講師がおすすめしています。これを繰り返すと、問題文を読んで、素早く「要は何が言いたい文章なのか」を意識できるようになります。それができると、本文の内容をふまえた設問に、しっかり答えられるようになるでしょうし、本文のどこを探せば設問の答えに辿りつけるのかもわかってくると思います。たとえ大変でも、2・3回程度でやめるようなことはせず、定期的かつ根気よくやってください。ただし、これはあくまで、それを読んで添削をしてくれる人がいることが前提です。もちろん、やらないよりはやった方がいいですが、添削してくれる人がいないと、

・自分の書いた要約文が、要約文としてちゃんと成り立っているのか?
・本文の核心にふれる重要な内容を、しっかりふまえて作っているか?
・もしだめならどこが原因でどうすればいいのか?

などがわからずじまいで、結局ただ書いただけになってしまうのです。何より、みてくれる人がいるというだけで、かなりの動機付けになるはずです。

3.記述式の問題は、予備校講師か学校の先生に添削してもらう

添削してもらうことが重要なのは、2で取り上げました通り、要約練習の際だけでなく現代文の記述式の問題でも言えることです。現代文を、特に記述式の問題を問題集を使って自分でこなす場合の難点は、選択式とは異なり、記述問題の場合、全員が全く同じ文を書くことはない以上、自分の作った解答が、もし本番の入試だとしたら、どのくらい点数がもらえるレベルのものなのかがわかりにくいことです。例えば問題集や過去問の中に、「下線部Aの○○○とはどういうことか、50字以内で説明せよ。」といった問題があったとします。いくら解答例や解説があっても、自分の作った解答について、「もし本番の入試問題だったら、自分の答案がちゃんと点に結びつく解答なのか」「部分点がもらえるとしたら、どのくらいもらえるのか」「だめならどう直せばいいのか」までは十分把握できないと思います。この手の問題の場合、解説や模範解答の提示だけではどうしても限界があります。だからこそ、予備校の授業を活用するのがおすすめなのです。そのため、予備校講師などと親しくなり、気軽にお願いでき、自分の解答をみてもらえるような関係を、今のうちから築いておくことが大切です。もちろん、関係さえ築くことができれば、高校の先生でもかまいません。

4.選択式の問題も復習は念入りに行う

現代文を問題集を使って自分でこなす場合のもう1つの難点は、正解はどういう根拠でどの文章から導き出し、正解以外の選択肢ではなぜだめなのかの解説が詳しいとは限らないことです。予備校の授業では、こういう解説が詳しいことが大きな強みです。ただ、本来なら復習の際に、解いた問題ごとに念入りに確認すれば、今後全く違う文章や設問にあたっても、考え方が蓄積されますので、確信を持って選べるようになるでしょう。また、これも1で取り上げましたが、現代文は追い込みが効きませんので、これができるようになるには、たとえ毎日でなくても、こうした積み重ねを一定期間続ける必要があります。にもかかわらず、普段からまめに復習するタイプの生徒ですら、現代文は復習がしづらいからと、授業や模試を受けっぱなし、問題集を解きっぱなしにする傾向があります。でも、それではいつまでたってもできるようにならない、または問題による得点差が大きい傾向は変わりません。現代文こそしっかり復習をしてください。尚、予備校での受講が難しいようでしたら、可能な限り解説の詳しい問題集を選んで一定のペースでこなしてください。おすすめの現代文問題集は、従来の「問題冊子に別冊の解答」というパターンではなく、別冊の方が問題編で、本誌の方が解答・解説になっているものです。書店の参考書売り場でぜひ探してみてください。

5.古文が苦手な人は、現代語訳を読み、だいたいの内容を把握しておく

一概に言って、古文は現代文と比べると、追い込みは効きやすいと言われます。その理由の1つは、出題される作品が限られていることです。英文読解や現代文で出題される文章は無限にありますし、これからも世に出続けるでしょう。でも、古文は違います。入試に出る作品は、せいぜい20〜30程度と出典が限られているため、例えば源氏物語だけでも、毎年どこかの大学で必ずと言っていいほど出題されています(もちろん出題箇所はいろいろですが)。ただ、苦手な人は、いくらそれくらいしか出ないと言われても、それらを全て原文で、最初から最後まで読もうと思ったら(実際は読まないまでも)、かなりの時間がかかるだけに、安心はできないと思います。そこで、そういう人は、現代語訳(それでも大変であれば、大まかなあらすじを説明している本でも結構です)を読み、登場人物や書かれた年代、その当時の時代背景・社会情勢をだいたいでいいので把握しておくと、取り組む際に気持ちがかなり楽になると思います。その上で、読解演習を通じ、古典文法をはじめ、重要事項を追加していくようにすると、限られた時間で点数に結びつく勉強ができると思います。

6.古典文法は、助動詞と敬語は早いうちに確認しておく。

いくら古文は追い込みが効くとはいえ、古典文法で少々大変なところがあります。ですので高校ではもちろん、予備校の中堅レベルまでの講座なら、ある程度時間をかけて古典文法を扱うと思います。それでも、文章を読む上での必要事項は限られていますので、英文法ほどの大きな負担にはならないでしょう。少なくとも、古典文法が大問として単独出題されることはまれで、設問の1つとして出題される程度です。それでも、古典文法の内容の中で、他の品詞よりじっくり時間をかけてでもやった方がいいと、多くの職員・講師が特にすすめるのは助動詞と敬語です。助動詞には活用があり、敬語は人物把握や主語の確認が必須となり、どちらも意味を取り違えると、内容理解に大きく影響するからです。もしこれらが不十分であれば、これらにしぼってでも確認をしておいた方がいいと思いますし、それができただけでも、古文がかなり読めるようになるでしょう。

7.漢文は追い込みが効くので、夏以降に集中して仕上げる

漢文は、古文以上に追い込みが効く科目です。書き下しや、再読文字などの重要句形を覚えればある程度は点数が取れますし、センターでは満点も狙えます。ですので、漢文まで手が回らなくても、今が1学期ならまだ大丈夫です。高校生は、まず学校の漢文の授業をしっかり受けてください。そこで重要事項をマスターすれば、漢文の勉強時間を最小限にできるからです。また、浪人生や、高校で漢文の授業がほとんどない方で、予備校でも漢文の授業を取っていない方は、ぜひ夏期講習を利用してください。そこで集中して仕上げておけば、2学期以降はセンターや志望校の過去問をこなすこともできますので、かなり楽です。

もし今が2学期であれば、さすがにいつまでも後回しにするわけにはいきません。でも、最優先すべきは主要科目ですので、それらをふまえ、いつから本格的に始めるかを決めておいてください。同時に、漢文を始めるまでにやっておくべき主要科目の内容も決めてください。そうすれば、主要科目と漢文のそれぞれに目標が設定されますので、メリハリのついた勉強になると思います。

ただ、幸か不幸か、よほどの難関大か文学部国文科でもない限り、私大ではほとんど使いません。国公立大入試で、センター試験または文系学部の二次試験で国語を課す一部の大学で使う程度です。だからこそ、漢文のような追い込みが効き、かつ最重要とは限らない科目は、特定の時期に集中して仕上げると効率が良く、その分英語などの最重要科目の勉強に集中させることができるのです。

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