小論文の勉強法

ここでは、「○○式勉強法」の提唱者や、あらゆる予備校講師や私のような予備校職員、高校教員まで、受験に携わっている立場であれば、誰もが共通でおすすめしている「基本中の基本」の小論文の勉強法をご紹介いたします。「小論文をどう書いていいかわからない」という方は、まずはこれらを参考にして、「書く上で必ずおさえておくべきこと」を確認してください。

1.まず自分の書くべき小論文の目的とタイプを明確にする

ひとえに「小論文」と言っても、慶応など一部の私大及び、国公立大二次試験で使われる一般的なものや、医学部などで課されるような内容が専門的かつ特殊なもの、さらに推薦・AO入試で課されるものまで、実にいろいろなタイプがあり、さらに出題形式にもいくつかパターンがあります。ですので、そのタイプや出題形式によって対策が変わってきます。まずは、自分はどの目的で小論文を書くのかを明確にしてください。そして、募集要項や赤本等で、過去にどんな内容の問題が出題されたのか、制限時間や字数制限があればどのくらいなのかを確認し、そのためにはどんな対策を立てればいいのかを考えてください。それからでないと、ただやみくもに書くだけになり、その分ロスが大きくなります。

2.普段から新聞に目を通し、今世間で何が問題になっているかを掴んでおく

これは小論文対策の第一歩です。これさえやれば書けるというわけではありませんが、これすらやっていないようでは、中身のない文章になりかねません。つまり「やって当たり前」のことなのです。確かに、今(だいたい昨年から最近まで)世間で何が問題になっているかについて、ただ把握するだけならテレビのニュースなどでも大丈夫です。でも、毎日活字を読むことに実は大きな意味があります。また、直近の問題だけでなく、志望学部で学ぶ内容や、その他勉強したい内容についての記事も必ず読んでください。例えば、医学部志望の方なら医療関係の記事(例:iPS細胞、産婦人科・小児科医不足など)、教員志望の方なら教育関係の記事(例:小学校での英語教育、全国学力テストなど)です。そして、これらの内容を他人に説明できるくらいに理解し、もしそれについて論ずる問題が出たとしたらどう論文を展開していくのかを、だいたいのイメージでいいので、考えるくせをつけておくといいでしょう。

3.早い時期から書く練習をし、必ず添削をしてもらう

小論文対策の基本中の基本は、「とにかく書いてみる」ことです。小論文対策本や、それに掲載されている見本の文章をいくら読んでも、それだけではいつまでたっても上達しません。それは、いくら水泳についての本を何冊も繰り返し読んだとしても、実際にプールに入って泳いでみないと上達しないのと同じです。最初は戸惑うかもしれませんが、見本の文章のアレンジでもいいのでとにかくまずは書いてみてください。そして、必ず添削してもらってください。それなしでは、自分の書いた文章は小論文として成り立っているのか、もしだめならどこがだめで、どう直せばよくなるのかがわからないからです。しかも、ただ書き続けるだけでは、不十分なスタイルで慣れてしまい、後で修正しようとしてもかえって時間がかかり、上達が遅れてしまうのです。一番理想的なのは、予備校で小論文の授業を受講することです。必ず課題が出され、後日添削されて戻ってきますし、書き方等も教えてもらえます。それが難しいようであれば、通信添削講座に申し込んだり、高校生なら気心知れている国語の先生に添削をお願いしたりするのもいいでしょう。いずれにしても、1学期中はせめて月1〜2回、夏休み以降も月2〜週1くらいのペースで書いてください。このペースで書き、添削もしてもらえれば、書けば書くほど上達します。

4.良い文章を多く読み、読解力を養う

「とにかくまずは書いてみてください」とは言ったものの、「ない袖は振れない」ではありませんが、いくら無理やり書こうとしても、書くための材料が頭になければ、そして何より、何をどう書けばいいのか、どういう文章を書けば小論文として成り立つのかがわからなければ、書きようがありません。そのためには、新聞記事だけでなく、多くの文章を読み、良い文章というのはどういうものなのかを実感してほしいのです。良い文章ほど、簡潔でわかりやすい文章になっていることがわかっていただけると思います。これが「2」で取り上げました、「活字を読むことの意義」です。


また「2」では、志望学部で学ぶ内容や、その他勉強したい内容の新聞記事をおすすめしましたが、同時に関連本も読んでみてください。例えば医学部志望者なら、医療関係の本も同時に読んで欲しいということです。そして、ただ読むというのではなく、「早く正確に読む」ことが大事です。時間無制限で、ただダラダラと読んでも意味はありません。「読解力」が養われるような読み方をしなければ意味がないのです。これこそが、小論文対策につながっていくのです。さらに、多くの文章を読むと、デジタル時代の副作用で、苦手な人が多いと言われる漢字にも強くなるでしょうし(漢字を間違えると確実に減点されますので要注意!)、読解力がつけば現代文の点数も上がるでしょうし、さらに関連本なら、その知識も頭に入ってきます。まさに一石「四」鳥です。

5.「問題提起→意見の提示→展開→結論」のパターンを意識し、定着させる

小論文の対策本を見たり、小論文の講師の話を聞いたりした限り、小論文の形式としては、だいたいこれに近い流れで書くよう指導しているようです。小論文に限らず、各科目ごとに解法パターンがあります。もちろんそのパターン通りにやらないと解けないとは限りませんが、それを覚えておいたほうが楽ですし、入試本番でも対応しやすいのです。ということは、いくら知識や読解力を生かそうと思っても、小論文の文章の組み立てのパターン通りに書かないと、文章によっては、何らかの形で減点対象になる可能性があるということです。


尚、このパターンをたたきこむ上で、私がおすすめし、かつ小論対策本などでも紹介されているのは、新聞の投書欄です。これは、文章が小論文のパターン通りの組み立てになっているものが多いのです。また、さすがに選ばれた文章だけあって、どの投書も読んでいてわかりやすい上、入試本番で課される制限字数の目安である、800〜1200字に近い長さで書かれているのです。しかも、今世間で問題になっていることや、以前から問題になりながらも一向に解決していないことまで、幅広いテーマで書かれています。記事を読むだけが新聞の活用ではありませんし、社説の読解だけが小論文対策ではありません。実は、投書欄に毎日目を通すだけでも、かなりの練習になります。

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